斎藤一人さんの本が好きだった。
長者番付で連続一位と話題になった時に
ミーハー心で手に取ったのが
変な人が書いた成功法則
だった。
そこに書いていたのは
それまで聞いたことがないような話で眉唾ものなことばかりで
疑うような気持と、ワクワクが混ざった不思議な感覚だったことを今でも思い出す。
例えば
『ついてる』と言おうとか
『顔につやをだそう』とか
『キラキラしたものを身に着けよう』とか。
今となっては結構市民権を得たような感じがするが
当時は胡散臭い以外の言葉が見つからなかった。
しかし、その胡散臭さに強烈に引き付けられてしまった。
もしかしたらそれでお金持ちになれるかもと
本に書いてることを実践してみた。
確かにいいことが起きているような気がする。
なんだろう。感じ方が変わったような気分になる。
ただ問題があった。
それは
『周りから怪しい人認定される』
ということ。
例えるならば、鳥のうん○ついてるのに
ニコニコしながら「ついてる」と言う人間を
周りの人は変な人と言うよりはかなりの確率で
『危ない人』と思うだろう。
私も思う。うん。
でも、それをやっていた。
そして仕事場でどん引かれる。
そりゃ、昨日まで文句の塊みたいなやつが
うん○つけて喜んでりゃ怪しいわ。
今ならわかる。
斎藤一人さんを知らない人がその光景を目の当たりにしたら
ちょっと病院行った方いいねと思うだろう。
そこでちょっとマイルドになれば良かったのだが、
残念な性格の私はますますエスカレートした。
キラキラした指輪を付け、顔をてっかてかにし
ついてるついてる言って
金色のシールを張りまくった。
・・・痛い痛すぎる。
当時の自分に言いたいのは
とにかく【落ち着け】の一言しかない。
あれから十余年、
今は当時の恐ろしい状態からは目を覚ましてはいるが、
その当時の残骸が部屋のあちらこちらに
恨めしそうに散らばっている。
当時の自分を認める事が出来たら
本当の意味での豊かさを知ることができるのかもしれない。
そう思いながらコーヒーをすする。